田村仁志さんの、ビジョンの物語です。
今回は、現在からの道筋は描いていませんが、本人にとっては、その方が心地よいとのことで、シナリオ部分なしで、書かせていただきました^^
https://ameblo.jp/jugemukunn8/
★仁志さんのブログです
14,951人が満員の東京ドーム。
そのステージに立った時、きっとこんな感じがするっていうことは、分かっていた。
なんどもこの瞬間が来る時のことをイメージしていた。自分のなかにすべてがある。特別なこともなければ、絶対にしなければいけないこともない。今日も、きっと、ステージに立った時には、歓喜というよりかは、意外と落ち着いているんじゃないかなあと思っていた。
だけど、今、これは何だろう?
すごい・・・!!
会場に、人が溢れている。前にも、後ろにも、奥にも、会場全体から溢れるエネルギー。一面に広がる、人、人、そして人!!
これから、俺はそのステージに立つのだ。体が震える。湧きあがる感情。歓喜を超える感情。次の瞬間には、恐怖を超える恐怖。自分から何が出てくるのだろう?何を伝えられるのだろう?
目を閉じて、深呼吸。
大きく息を吸う。
息を吐ききる。
吸う。
吐く。
ふう。
落ちついた気持ちで、あらためて会場を見渡す。溢れる人。希望と期待に溢れる人々の顔。最前列には、奥さんに、愛する子どもたちが、小さく見える。そして、何年も親しんだ安心出来る仲間の顔。正城、翔ちゃん、ふーちゃん、翠ちゃん、たーくん・・・。
「・・・それでは、仁(じん)さんこと、田村仁志さんのプロフィールを紹介します。
仁さんこと、田村仁志さんは、愛きょうがあり親しみやすいキャラクターでありながら、この世界の美しさ、人の美しさに思い出させる言葉のアーティストとして、世界中で講演活動をされています。講演の内容は、その時々で多様なテーマを扱いながら、その根底にながれる愛とスケールの大きさに感銘をうけて、涙がとまらなくなるという声が後を絶ちません。先日ハーバード大学の卒業にあたっての応援スピーチのユーチューブの再生回数は、100万回を超えました。本日も、仁さんの言葉のアートに触れて、自分自身の美しさを思い出しましょう。では、仁さん40歳の生誕特別記念講演~志をもって遊ぶ~をはじめます。それでは、仁さんよろしくお願いします。」
壇上に上がる。全身の、心地よいしびれる感覚。正直頭は、まっしろだ。でも、俺の口はまた何か、話はじめようとしている。
「みなさん、こんにちは。仁さんこと、田村仁志です。そうですね、俺はいつも何を話すか事前に考えることはしないのです。だから緊張するし、今、心なしか体が震えています。」
笑いに溢れる会場。
「自分の口から、どんな言葉が生まれてくるのか、そのアート性とライブ感が好きなのです。皆さんはこんなことを感じたことはありませんか?
例えば・・・」
口から、するすると次の言葉が出てくるのが不思議なことだ。自分で動いているのか、動かされているのか、分からない。でもものすごい、解放感に包み込まれている。会場との一体感。みんなひとつである感覚。そして、その前にたち、存在を伝えている感覚。生きている。生きているってこういう事なんだ。生きている。生きている。楽しい。最高だ。生きている。
会場が大きければ大きいほど、自分の存在が広がる感じがする。ぽかぽかあたたかく、東京ドーム全体に広がっていく感覚。そして、ここの場所を超えて、世界へ宣言する。宇宙へメッセージを放つ。肉体の感覚は失われ、存在、ただある感覚になる。宇宙との合一。宇宙になる自分。宇宙を創造している自分。
最高の時間だった。
★★★
記念講演は大成功に終わった。泣いて笑って、大感動の空気に包みこまれた。
講演の後、舞台裏で、奥さんと子どもたちとハグをした。
「誇らしかったよ」
奥さんはいう。子どもたちは無言で、キラキラ目を輝かせて、抱きついてきてしばらく離れなかった。
ブログやFBにはこのイベントのシェアが溢れた。タイムラインを追うことも難しい。そのへんをチェックしてしまうことはまだ人間らしいなっておもう。かわいらしい俺 笑
でも、やはりリアクションを得られるのは嬉しい。リスペクトをいただけることはうれしい。自分が美しさを伝え、それぞれ自分の美しさをおもいだしてもらえたことが感じられると嬉しいのだ。
ひとつ大きくうれしかったのは、広尾にある100坪の自宅に届いた手紙。
父からの手紙だった。ずっと、縁が切れていた父。ぞわっとした。一体何が書かれているのだろう?少し怒りが湧いた。今さら、一体なんだろう?
中をみると、一言だけ、書いてあった。
『この前の講演、見ていた。立派になったな。』
涙がつーと流れた。悔しいけれど、なんか、嬉しいのかもしれない。心の何か凍っていたものが、溶けだすのを感じた。涙が止まらない。なんだよ。なんで一言だけ。もっと感動とか伝えたりいろいろあるんじゃないか?いや、他に伝えることあるんじゃないか?
一日、泣いた。また、一歩進めたのかもしれない。
俺は、講演をするのも好きだし、なんでもない日に、日向ぼっこをして家族と一緒にぼーとするのも好きだ。なんでもない、日常のなかに溢れる豊かさ。それがなによりの土台だよなっておもう。
そして、人に言葉で伝えていく。きっと死ぬまで、こんな日々を繰り返していくのだろう。そして、ティンカーベルの住む美しい世界を、伝えていきたい。美しさに、みんなどんどん気づいていったら嬉しい。それぞれが今ある場所で、命の花を咲かせて言って欲しい。
そんなことをおもいながら、何も考えずに、導かれていく。生を楽しんでいく。
淡々と、静かに、時に華やかに。
To be continued…